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Writer's picture原空間工作所

2023年 桜の季節2

Updated: Apr 11, 2023


八重桜(カンザン)


我が家にはもう一本、八重桜があり、今、ソメイヨシノより、ちょっと遅れて満開です。

こちらは、葉が少し出始めて、花が咲きます。



八重桜はオオシマザクラとヤマザクラとの種間雑種として誕生したサトザクラの種類です。


カンザンは濃い紅色をしていますが、これは意外にも花弁が白色のオオシマザクラの特質を継承していると考えられています。一般的なオオシマザクラの花弁は白いが、色素のアントシアニンの影響で稀に花弁がわずかに紅色に染まる個体があり、散り際の低温刺激でも紅色が濃くなることがあるそうです。野生状態では紅色が制御されているが、突然変異によっておこる紅色の個体をつかって、カンザンが誕生したと考えられています。

カンザンの花は蕾のうちに摘み取り塩や梅酢に漬けて、桜湯用の桜漬けと使用しても楽しめます。


ギョイコウ:ミドリ桜


この時期、近所の公園にはギョイコウ(御衣黄)と呼ばれる薄緑色の花びらの八重桜が咲いています。

ギョイコウとは貴族の衣服の萌黄色に似ていることから名づけられたといわれています。



江戸時代に京都の仁和寺で栽培されたのが始まりとされる荒川堤で栽培されていたサトザクラの一種だそうです。開花時には目立ちませんが、次第に中心部から赤みが増してきて(紅変)、散る頃にはかなり赤くなります。

桜の心材:板と柾目が混ざり合っています。


桜は建築材料としても良く使用されます。心材は赤みを帯びた黄褐色で、辺材は薄黄色です。高級材として、昔から使用されて硬くなめらかな材質は家具や造作材には珍重されています。

建材ではカバザクラと称して、カバノキ(バーチ)をサクラ同様に扱っていますが、これは大きな間違いです。カバザクラ(チェリー)はバラ目・バラ科・サクラ属に対して、カバノキ(バーチ)はブナ目・カバノキ科・カバノキ属で木の匂いも強度も全く違います。

サクラの方がイメージが良いのと、カバがバカに聞こえるから、カバザクラと材木商が言い出したのが始まりと言われています。



薄紅色の引き戸と垂れ壁部分はサクラ柾目の突板によるものです。薄らと白を着色してあります。


樺細工の茶筒


サクラの樹皮は美しく強靭なため古くから樺細工に使用されています。

樺細工の名称は諸説ありますが、私は和楽器の一種である篳篥の両端に巻かれている桜の皮(樺)といわれていることから推測すると、皮=樺ではないかと思っています。なぜなら、樺細工に、皮が強靭ではない樺類が利用されることはないからです。


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